凡例
このガイドラインでは、各項目が主に誰に対するものか、以下の4種類の「ラベル」によって表示しています。
全般的事項LGBTQ+に関する対応にあたり、本学の構成員(教職員、学生を問わず)は全員知っておく必要がある事項。
本学の対応状況本学での対応状況・実施状況についての説明。本学のすべての人に情報共有しておきたいこと。
主に当事者へLGBTQ+に当てはまる(かもしれない)人を支援する内容となる事項(主に学生向けだが教職員も対象)。もちろん、LGBTQ+に当てはまらないと思う方でも、特に支援者には把握してもらいたい事項。
周囲の方へ支援者はじめ、LGBTQ+に関わるすべての人にお願いしたい事項。
6. 周囲の対応、特にカミングアウトについて
①カミングアウトとは
全般的事項
社会生活において、マイノリティは人に知られていない/知らせていないことを知らせるかどうか迫られる場面に直面することがあります。このときに行われるのが「カミングアウト」です。これは「自分を偽る」といった苦痛や不利益の軽減のほか、一人の人間として尊厳ある生き方の実現を求めるといった意味を持つもので、よく誤解されるような単なる少数者の自己主張や自己満足ではありません。また、カミングアウトは周囲の人すべてに対して一律に行われるのでなく、誰に対してはどの範囲までと個々に判断する場合もありますし、カミングアウトしない人もいます。ツールボックス(10)・(11)
多様な人が一堂に会する大学においては、カミングアウトやそれに伴う関係者間の調整が必要となる場面もあります。これはLGBTQ+に限った特別なことでなく、出自、信仰、家族や家庭の状況、障害、病気や余命など誰でもいつかどこかで向き合うこともあるものです。
②自己決定と情報のコントロール
周囲の方へ
多くの場合、カミングアウトは「あなた」に対して行われたもので、無制限の公表やその希望を含意していません。カミングアウトされた側はそれが本人の自己決定に属することを踏まえ、情報のコントロールに留意する必要があります。カミングアウトされた場合の対応については「⑤カミングアウトされたときには」を参照して下さい。
③カミングアウトとアウティング
全般的事項
カミングアウトしたこと自体やその内容を本人の意に反して第三者に曝露することを「アウティング」と言います。これは本人の尊厳を深く傷つけるだけでなく、意識的・無意識的な差別を背景として本人に大きな精神的苦痛を与えます。こうしたアウティングは、自死(自殺)といった最悪の結果を招きかねません。故意や悪意によるアウティングに対して、本学はハラスメントとして対処します。善意のつもりであっても、本人の情報のコントロールを侵害するアウティングをしないことが求められます。ツールボックス(12)
④カミングアウトが必要なときには
主に当事者へ
カミングアウトの必要がありそうなときは、先に内容や状況を整理するのがよいと思われます。その際に活用できるワークシートを準備しています。ツールボックス(13)
大学の教職員に対してどう伝えればよいかなど迷う場合はBHEに相談することができ、守秘義務を負った担当者が関係各所と連携しながら対応します。もちろんアウティングで困っている場合も、相談窓口を通して対処することができます。また、LGBTQ+に関するサークルといったコミュニティに参加して、まずLGBTQ+の人々や理解者とふれあうという選択肢もあります。BHEでは、このようなコミュニティを紹介することもできます。
⑤カミングアウトされたときには
周囲の方へ
それまで表にしていなかった秘密を打ち明けられたとき、戸惑いを感じる人も多くいるものです。そのようなときは打ち明けた本人からの希望を踏まえながら受け止めるのが一番ですが、対応の一助としてその際に活用できるワークシートを準備しています。ツールボックス(14)・(15)
「誰にも言わないで欲しい」と言われてカミングアウトされたとしても、守秘義務のある相談窓口に相談することができます。カミングアウトに対してどうすればよいかわからないとき、何か気になることがあるときは、カミングアウトされた側もBHEに相談に来て下さい。
全般的事項
誤解されることがありますが、カミングアウトは「あなたは私の性的対象だ」といった宣言や性的関係の要求ではなく、いわゆるハラスメントとは全く異なります。突然それまでの人間関係を破壊しようとして行われるものでもありません。
⑥周囲の対応について
LGBTQ+を含めた学生や教職員が大学において過ごすにあたり、他のマイノリティの場合と同様に周囲の対応が重要であることは言うまでもありません。LGBTQ+の学生や教職員と連帯して支援する人々はアライ(ally)と呼ばれ、当事者支援の大きな力となります。こうした協力をしたいという人とLGBTQ+の人々とをつなげるためのワークシートも準備しています。ツールボックス(16)