BHE 局長からのメッセージ

ヒューマンエンパワーメント推進局
局長

太田 圭

ジェンダーについて考えると、世の中には「あれっ?」と思う言葉があることに気づきます。

私が専門とする芸術分野でも、本来ジェンダーフリーであるべき画家に、「男流画家」という言葉はありませんが「女流画家」という言葉があります。そうしてみると、「女流棋士」「女流本因坊」「女流俳人」「女流文学」など、「女流」がつく言葉があります。これら以外にも「男と女」のみで分類されている「ひと・もの・こと」は多々あります。

何気なく、あるいは無意識に使っているこれらのことを、「全部ダメ」というのではなく、これらの言葉の持つ意味や歴史について、あらためて一人一人が、あるいは皆で一緒に考え、変えるべきところは変えていくことが必要です。

ヒューマンエンパワーメント推進局では、ジェンダーを含め、すべての学生や職員の一人一人の能力が遺憾なく発揮できるような環境構築をミッションとしていますが、自他共に「個」を尊重することから、お互いを尊重し合う「群」へと展開することが、ひいては筑波大学の持つポテンシャルのエンパワーメントにもつながると思います。

構成員の皆さん、ジェンダーについてこれからも一緒に考えていきましょう。

BHE 次長(ダイバーシティ)からのメッセージ

ヒューマンエンパワーメント推進局
次長(ダイバーシティ)・体育系教授

山口 香 教授

私は子供の頃から柔道をしていました。相手を倒すタフなイメージを持たれている人も多いと思いますが、実際には互いの間合いや思いを読まねばならない繊細さが重要です。

DE&Iの推進で大切なのは、一人ひとりが相手の立場になって考える優しさを持つことだと思います。柔道は、どんなに身体を鍛え、技を磨いても、相手を見ずに自分勝手に力をぶつければ通じません。また、上手な人に投げられると、一瞬で宙を舞い、痛みも感じません。洗練された人の技は角がなく、相手とぶつからないからです。柔道が目指すのは、強さと同時に相手を慮る優しさを持つ人間教育です。高等師範学校初代校長(筑波大学の前身)で、柔道の創始者である嘉納治五郎は、「精力善用、自他共栄」という言葉を残しました。自らの力を最善に活用し、自分も他(周り)も共に栄えるように努めることが大事だという意味です。

筑波大学には優秀な人たちがたくさんいますが、その学びや能力が独善的に発揮されるのではなく、自分も周りの人も幸せにするものであってほしいと願っています。