1. 筑波大学のLGBTQ+に関する取組紹介
①学生と教職員の協働
筑波大学では、学生ならではの視点を取り入れ、今後の支援や制度の拡充につなげていくため、学生と教職員の協働に重点を置いた取組を行っています。
2023年度からは、ジェンダー・セクシュアリティに関心のある学生をスタッフとして雇用し、企画の立案・運営等を学生主体で実施する制度(ピアスタッフ)を設けています。
以下にそれらの取組の一例をご紹介します。
・東京レインボープライド(Tokyo Rainbow Pride:TRP)
2022年度より筑波大学単独でブースを出展しています。出展の際には有志の学生・教職員を募り企画の準備を行っています。これまでには、LGBTQ+に関する映画や書籍等の推薦作品の紹介や、学内者のメッセージを写真とともに展示する企画等を実施しています。こうした取組は、学内のLGBTQ+の人々やアライのコミュニティ形成の機会となっています。
・セーファースペース
学生・教職員の居場所づくりの一環として、2023年度よりセーファースペースを設けています。主にジェンダー・セクシュアリティについて安全に話すことができる場所として、ピアスタッフが中心になり運営しています。
・学生企画
ピアスタッフ制度の中では、企画の立案から広報・運営までを学生主体で実施する学生企画があります。これまでに、ジェンダー・セクシュアリティに関する映画の上映会等を実施し、多くの学生・教職員が参加しています。学生スタッフが学生のニーズを企画に反映し、より幅広い層に支援が届くことを目指しています。
・OUT IN JAPAN
2017年より「OUT IN JAPAN @ 筑波大学」を本学の附属図書館にて実施しています。この企画は、LGBTQ+の人々の写真とメッセージを展示し、学内外の来場者に向けて姿や思いを発信するものです。企画の際には学生の有志を募り、展示に向けての準備や関連した学生企画等も行っています。
②ジェンダー・セクシュアリティ関連授業の開講
本学では、BHEの教員による、「D&I入門」や「ダイバーシティとジェンダー・セクシュアリティ」、「ダイバーシティとSOGI/LGBT+」等、ジェンダー・セクシュアリティに関する科目を開講しています。年度によってタイトルや内容が異なりますので、詳しくはシラバスをご覧ください。
2. ヒューマンエンパワーメント推進局より
近年、LGBTQ+を含む性的マイノリティに関する話題は社会的に大きな注目を集めています。国内では渋谷区での同性パートナーシップに関する条例の制定、国外では米国での連邦最高裁判所による同性婚を憲法上の権利として認めた判断を始め、一見すると国内外でジェンダーやセクシュアリティの多様性を認め、よりインクルーシブな方向へと動き始めているように思えます。
しかし、国内でも国外でも未だ多くの誤解や偏見が残り、それによって不当な扱いを受けて起こる不幸な事例が後を絶たないことも事実です。「LGBT」という言葉だけが先行してすべての性的マイノリティがひとまとまりに受け止められ、性自認や性的指向の多様性まで理解が及ばない人も多くいます。LGBTQ+の人々が周囲に声を出せず、息を潜めながら生活している姿も想像に難くありません。性的マイノリティであるということだけで、本来のその人の能力と無関係に機会や評価が与えられないこと、能力を十分に発揮できないことは、社会にとって、とりわけ教育・研究により社会を切り拓く立場にある大学にとっては大きな損失です。
本学は、ダイバーシティ基本理念に基づき、平成29年に他大学にさきがけて本ガイドラインを発表しました。本ガイドラインの巻頭にある「筑波大学におけるLGBTQ+の性自認及び性的指向を理由とした差別の禁止及び解消に関する基本理念」にあるように、本学は建学の理念に「開かれた大学」を掲げ、教育・研究に多様性と柔軟性を追究してきました。
また、地球規模の社会課題の解決に向けて従来型の発想を越えたイノベーションの創出を常に求め続けています。本学では、人材や環境の多様性こそがイノベーションの源泉であると考えています。すべての学生や教職員が自分のアイデンティティに誇りを持ち能力を存分に発揮できるよう、ともに大学を作り上げていくことは、激動する社会環境の中で筑波大学が変化と革新を生み続けるためには不可欠なことです。
これまで本学では女性研究者支援や障害学生支援といったダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの推進に一貫して取り組んできました。今、本学は男女という性別や障害の有無といった二元論でのダイバーシティ推進から歩を進め、多様な存在の個人が、それぞれに価値ある存在として自らの能力を開花できる真のダイバーシティの実現を目指しています。このガイドラインが、その一歩となることを願ってやみません。
筑波大学
ヒューマンエンパワーメント推進局