6月3日(金)、大学会館国際会議室において、「いま、震災から学ぶこと:大学のダイバーシティの視点から考える」と題して、環境安全管理室、筑波大学FD委員会との共催で、管理職員を対象としたFD/SD研修会を開催しました。3月11日の震災により、筑波大学も非常に大きな被害を受けました。これまで、男女が共に働きやすい職場の環境整備を進めてきた男女共同参画推進室は、男女の枠組みを超えた多様な立場の方の視点で、今回の震災を受けて、今後大学としてどのような対策が必要か等、情報交換を行う場を提供し、学長をはじめ各組織の長の方々には学内における意思決定に役立てて頂くと共に、今後男女共同参画推進室で取り組むべき課題を模索することを目的として、本研修を実施しました。当日は、学長、副学長、調整官、研究科長、専攻長、学群長、学類長、センター長、部長、課長、室長、支援室長ら115名が参加しました。
石井教授 藤田氏
山田信博学長の開会挨拶の後、本学人間総合科学研究科教授で、平成18年度より環境安全管理室長を務める石井哲郎氏に「震災から学ぶ筑波大学の安全と安心」をテーマにご講演いただきました。はじめに、今回の地震で特徴的であった、原子力発電所事故による放射能汚染の問題や、節電対策などについてご説明いただきました。その後、東日本大震災における本部等事業場の被害状況と安全対策として、主に転倒と落下、退避路の閉鎖、高圧ガスボンベの転倒例などを挙げて、本学の被害状況と今後の対応策についてお話いただきました。
続いて、(独)物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA) 事務部門長の藤田高弘氏からは「東日本大震災:多国籍研究拠点はどう対応したか?」をテーマにご講演いただきました。藤田氏からは、(独)物質・材料研究機構の国際化の現状として、近年の外国籍職員数の推移や、若手国際研究拠点としての取組等をご説明いただきました。また、MANAの建物の被害状況や、震災当日の避難状況、加えて、日常的に行っている避難訓練や安全教育に関して、外国籍研究者比率が50%を超える多国籍研究拠点としての対応について具体的にご説明いただきました。
パネル討論の様子
プログラム後半は、男女共同参画推進室長の吉瀬章子教授を座長に、人間総合科学研究科 助教で、障害学生支援室の青柳まゆみ氏、図書館情報メディア研究科 准教授の池内淳氏、人間総合科学研究科 准教授の李昇姫氏、および講演者の石井哲郎氏、藤田高弘氏の6名によるパネル討論を開催しました。
青柳氏は、自身の体験や障害学生の体験、障害学生支援室としてこの震災に取り組んできたこと等から、障害学生を考慮した避難マニュアルの作成や停電時の対応などを今後の課題として挙げ、近くに居る人たちが障害のある人の存在を認識しておくということがとても大事であるとの意見を述べられました。池内氏からは、子育て中の研究者という視点から、原子力発電所事故による放射能汚染の問題を中心に、育児中の親の立場や、放射性物質の子供への影響等を中心に話題提供されました。李氏は、震災復興に向けて、学生と力を合わせてボランティア活動を推進していきたいということ、すでに学内でも「ぬりえ日本」など、学生主体のボランティアが活動を行っていることをふまえて、筑波大学内の教職員や学生のボランティアネットワークを作っていきたいとの意見を述べられました。
パネル討論に続いて、吉瀬教授より、男女共同参画推進室のこれまでの取り組みと今後の活動について、さらに、今回の研修のまとめとして、震災から学んだことと取り組んでいくべき課題について報告いたしました。最後に、災害対策本部長であり、男女共同参画担当副学長の鈴木久敏理事が、閉会の挨拶として、本研修会全体を総括いたしました。