9月5日,筑波大学総合研究棟A205号室において,「キャリアとワークライフバランス」を開催しました。このセミナーは,文部科学省科学技術人材育成補助事業「女性研究者研究活動支援育成」事業(拠点型)、および大学院共通科目の一環として企画したもので,教職員や学生,学外者を含め,約40名が参加しました。
前半では、現役研究者による講演会を行いました。
はじめに、「仕事と子育ての両立―企業で働く研究員の1日―」では、日本IBM㈱東京基礎研究所に勤務されている安部麻里さん福田健太郎さんご夫妻にご講演いただきました。
お二人とも研究者として勤務しながら、3人のお子さんの子育てに取り組まれています。
安部さんは就職後、学位取得と出産をご経験されました。この両立の実現を可能にしたのは、どうすれば一日の時間を最適に配分できるか、意識して行動したことだそうです。福田さんは、時期にもよりますが、お子さんの食事や入浴、就寝、保育園の送迎など、ご夫婦で相談しながら臨機応変に分担して活動しているそうです。また、勤務する会社のサポートが重要であることも話していただきました。例えば在宅勤務を増やすといったように、フレキシブルな勤務形態の整備と、選択肢の多さが、お二人の仕事と育児の両立を可能にしているようです。
次に、「失敗から学ぶキャリア形成」では、ダイバーシティ推進室長で、本学図書館情報メディア系の溝上智恵子先生よりご講演いただきました。
溝上先生には、まわり道しても自分の希望するキャリアは実現できることをお話いただきました。
先生は、大学卒業後就職され、結婚と出産を経験されました。その後、大学院で勉強したい気持ちが強くなり、アメリカの大学院に留学することを決意しました。周囲の風当たりが強い中、最後には家族や職場の同意を得て留学できたそうです。
そして現在では大学教員として本学で研究・教育に従事されています。
後半では、キャリア・カウンセラーの内田佳子さんによるワークショップ・セミナーを開きました。
このセミナーでは、自分が仕事や研究に求めている価値を明らかにし、自分らしいキャリアを描く手がかりの発見を目標にしました。
参加者は、「カードソート」というグループ・ワークを行い、各自の仕事・研究する上で外せないこと(条件)、人生における価値観、求めている価値について共通する思いを明確にしていきました。カードソートを通じて、参加者はこれまで気づかなかった自分が実現したいこと、そして自分が意味を感じるもの(価値観)を明らかにすることができました。
このワークショップ全体を通じて、参加者は今後の長期的なキャリアデザインを描く上で大きな手がかりとなりました。
前半・後半いずれも参加者から積極的な意見・情報交換が行われ、大変盛況な会となりました。