「大学における男女共同参画」、「組織のメンタルヘルス対応について」と題して、管理職員対象FDを開催しました。環境安全管理室、筑波大学FD委員会との共催で、男女共同参画についての理解を深め、管理職員のメンタルヘルスの現状把握、管理者としての対応を目的として実施しました。当日は、学長、副学長、研究科長、専攻長、センター長、部長、課長、室長ら105名が参加しました。
京都大学大学院文学研究科 伊藤公雄教授からは、まず国際社会のなかの日本の女性の人権について考える機会は2009年8月、国連女性差別撤廃委員会の日本政府への勧告から始まったということ、国際社会とジェンダー政策の発展について時系列的にご説明いただきました。経済成長の一方で社会的ひずみが広がり、21世紀の日本社会が活力ある成熟社会を目指すならば男女共同参画の推進と男女両性のワークライフバランスの確立が必須の課題であるとのこと。さらに男性を縛るジェンダーと男性問題について言及され、なぜ男女共同参画が必要なのか、次の点についてご説明いただきました。
(1) 国際社会で「名誉ある地位」をしめるために
(2) 少子高齢社会に備えるために
(3) 労働と産業の未来のために=ダイバーシティ戦略とジェンダー
(4) 子ども問題、家族問題とジェンダー
(5) 環境からまち作りまで=計画/設計/経営における男女共同参画
(6) 男性の人間らしい=男性にとってのディーセントワークの実現 、家庭生活/地域生活の回復へ
最後に「大学としての男女共同参画」として、国際社会の中の日本の大学、大学におけるジェンダー政策、大学におけるポジティブ・アクションの可能性についてお話いただき、大学の国際化と教育・研究、職場の活性化のためにダイバーシティがもたらす創造力と活力、ワーク(リサーチ)ライフバランスによる安心して能力が発揮できる大学へと、方向性について示唆をいただきました。
後半は、本学人間総合科学研究科教授(産業医)の松﨑一葉氏より、「組織のリスク管理としての実践的メンタルヘルス対策」についてご講演いただきました。
また、伊藤教授にはご講演後、男女共同参画推進室スタッフ対象に、京都大学の取組についてご説明いただき、本事業の先行事例を学ばせていただきました。